2017年02月27日

電動ハンドガンのバッテリーと配線によるレスポンスの比較

前回のモーターレスポンスを数値化して比較する記事がかなり好評だったので今度は電動ハンドガンを題材にしたいと思います。


電動ガンは空気を圧縮する動作をモーターとギヤで行うため、ガスガンやエアコッキングガンと比べるとどうしてもトリガーを引いてから弾が発射されるまでタイムラグが現れてしまいます。

数ある電動ガンの種類の中でも特に電動ハンドガンはトリガーを引いてから弾が発射されるまでのレスポンスが遅いので、そこに違和感を感じる人が多く、このレスポンスを短くしたいというのが電動ハンドガンユーザーの至上命題だったりするのです。








今回はバッテリーの種類によるレスポンスの違いを計測し、更に配線を高効率の物に変えた状態でどのようにレスポンスが変化するかを調べていきます。





なんか小学校の自由研究みたいだな(笑)
自分で言うのもなんですが、かなり資料的価値の高い記事になってると思います。だれか金くれっ!!!







今回の記事はいつも以上に長いのでスマホで見ている方はスワイプする親指が腱鞘炎にならぬよう・・・・。






”レスポンスを擬音で表現するのは卒業する”が今回の裏テーマでして、ブログやSNSが一般化した現代社会においてレスポンスを「ウィポポ」という表現を多用する状況が長きに渡って続いております。その最たる原因が電動ハンドガンであり、そのレスポンスの遅さから「ウィポ」系の擬音を世にはびこらせた諸悪の根源であります。

そういった状況を一変すべく、当ブログでは今後レスポンスを擬音で表現することは一切やらずにしっかりとミリセカンドという単位を使ってお伝えしますよ!!


今回は電動ハンドガン USPが実験台です。

















今回もモーターレスポンス比較検証時と同様にマイクで動作音を録音し、波形を見てモーターの回り始めからピストンが落ちるまでのスピードを計測する方法で検証します。














まず最初は新品の完全ノーマルUSPを新品のニッケル水素で駆動させた時のレスポンスを見ていきましょう。

バッテリーは最大限に性能を発揮できるよう、計測毎にデルタピーク式充電器で満充電状態にし、更に人肌に暖めた状態にします。





結果はというと・・・・・
























おっっっせ!




新品の電ハンに新品のバッテリーだとレスポンスが95msecとなりました。

1msecは1/1000秒となります。

なので95msecというのは"ほぼ0.1秒"っていうことですね。おせー。


波形の一番大きなところがピストンの打撃音になるのですが、そのあともギアノイズが続いていますね。

"ピストンが落ちた後も少しギヤが回ったところで通電が遮断される"のでこのようにノイズが後を引くわけですね。
セクターギヤが一周してまた最初にピストンが途中まで引かれた状態で止まるということです。

さらにピストンを引いた状態だとバネの力でギヤが少し逆転してベベルギヤの逆転防止ラッチに引っかかって止まりますのでその逆転ノイズも入っているものと思われます。

なので完全にギヤが止まるまでは0.14秒近くかかっています。













次に完全ノーマル状態のUSPをリポバッテリーで駆動させた場合のレスポンスはどうか。

リポバッテリーは計測毎にバランス充電器で2セルとも90%まで充電した状態にします。
接続にはトリガートークのリポバッテリー変換コネクターを使用しています。



ただ、このリポは6年前のだからけっこうコンディション悪いかもです(笑)






結果はこのようになりました。





82msecということで流石にニッケル水素よりは早いですね!

百分率でニッケル水素のレスポンスを100%とした場合、リポバッテリーは84%になります。

つまり16%のレスポンス向上となるわけですね。

多分、新品のリポだったらもう少し早いと思います。
















では、次に配線を高効率のものに変えてニッケル水素とリポバッテリーのレスポンスがどのように変化するかを調べていきます。




使用する導線はイーグルフォースの18ゲージ 銀コードです。
大変お世話になっている電動拳銃工房さんで電ハンに一番適しているとされているコードになります。



純正のコードよりも芯線が太く、電導効率が良くなっています。












サクっと交換。













ニッケル水素バッテリーでも計測するので接点端子もハンダ付けします。














このようにノーマルの状態と接点は全く同じ構成で、導線のみ銀コードに変えた状態にして計測します。




後のことを考えてノーマル状態よりも2センチほど導線が長い状態にしてあります。














さて、配線を高効率の物に変えただけでどのくらいレスポンスが変わるのか!?
























まずニッケル水素から。



おおおお!

すっげえ!配線変えただけで14msecも短縮されたぞ!!




配線変える前のリポとほぼ同じレスポンスになりました。

銀コードすげぇ!すげぇよ!

配線変える前はのニッケル水素は95secで交換後は81secなので15%の短縮になりました。















こうなってくると否が応にもリポのレスポンスを期待しちゃいますな!








配線交換後のリポのレスポンスは・・・・


















58msec!!!





配線交換前のリポは82msecで交換後のリポは58msecでしたから24msecもの短縮!!

実に30%もの短縮です。



ニッケル水素よりもリポの方がレスポンスの上昇率が高かったことからノーマルの配線がリポの突入電流をかなりスポイルしていたってことが分りますね。




















さて、しかしながら電動ハンドガンの配線にはまだまだ改善する余地があります。





この画像を見てもらうとわかるとおり、変換コネクタを使った場合は通常の長モノ電動ガンよりも接点が2箇所も多くなってしまいます。



この接点により、かなりの抵抗が生じていると考えられるので今度はこの接点を取り払った状態でのレスポンスを計測してみたいと思います。

















なぁ、ワクワクするだろ!?




















ちゅーわけで、モーターとスイッチから伸びている線に電動ハンドガン用リポバッテリーと同じBEC端子を直接取り付けます。




芯線が太いのでBEC端子の圧着はかなりギリギリ!














こんな感じになりました。
ニッケル水素はもう一生使わないってことで完全に専用バッテリー用端子は取り払いました。




うまいこと穴をあけて片方に配線をまとめました。

























うん。良い配線だ。我ながら良い仕事をしたぞ。

















で!!













この状態で計測した結果がコチラ!!





55msec!!




なんと接点を廃したことで更に3msec短縮できました。





ノーマルにリポを使用した状態が82secでしたからパーセンテージで言うと実に33%もの短縮になりました。


ほとんどの方が変換コネクタを介してリポバッテリーを使用していると思いますが、配線を変えるだけでレスポンスが2/3になるということです。










更に言えば、ニッケル水素を使っている人は配線を変えてリポにすればレスポンスを約半分にすることができるのです。

今回実験で使ったリポは6年前のやつなので新品のリポだったならば「約半分」じゃなくて「半分」になるかもしれませんね。

因みに電動ハンドガンはメカボックスが全て同じなので基本的にどの機種でも私と同じような結果になると思います。


















オマケとしてフルオートのサイクルも測ってみました。





まずは完全ノーマル状態でニッケル水素を使ったサイクル。



秒間12発になりました。ちょっと物足りないですね。


















次に銀コードに交換後のニッケル水素のサイクル。




なんと秒間14発!!


配線を変えるだけで秒間2発も増えました。




















次に新品ノーマル状態のUSPにトリガートークのコネクタを介してリポバッテリーを使った場合のサイクル。




秒間16発になりました。

スタンダード電動ガンの箱出し状態と同じですね!



















次に銀コードに交換後、トリガートークのコネクタを介してリポバッテリーを使った場合のサイクル。




16発となりましたが、波形を見てもらえば分るとおりほぼ17発と言っていいでしょう。

配線を変えることで秒間1発増えました。






















最後にコネクターを介さず、銀コードに直接BNC端子を取り付けた場合のサイクルがこちら。




18発になりました。

なんとリポでも配線を効率化するだけで秒間16発から18発まで向上することができました。すげーな銀コード。


ただ、最後の18発っていうのは波形上の数字であって、トリガーを引いた瞬間からの秒間サイクルで言えば17.5発程度になると思います。
すっげー細かい話ですが(笑)







各データのまとめ


■純正ニッケル水素

セミのレスポンス

ノーマル状態 95msec

配線交換後 81msec

配線交換で15%のレスポンス向上

フルオート時の秒間サイクル

ノーマル状態 秒間12発

配線交換後 秒間 14発

配線交換で秒間2発のサイクル向上



■リポバッテリー


セミのレスポンス

ノーマル状態 82msec

配線交換後 58msec

配線交換+中間端子・リポコネクタオミット 55msec

最終的に33%のレスポンス向上

フルオート時の秒間サイクル

ノーマル状態 秒間16発

配線交換後 秒間17発

配線交換+中間端子・リポコネクタオミット 秒間18発

最終的に秒間2発のサイクル向上



結論として電動ハンドガンにおいて高効率配線に変えるだけでレスポンスと秒間サイクルは大きく向上するということが分りました。




じゃあなんで東京マルイは純正の配線にを効率悪い物にしてんだ?っていう話になるのでその考察を書いていきます。


通常の長モノ電動ガンはピストンに負荷を逃がしてピストンだけが寿命を迎えることでメカボ全体に被害が及ばないような設計になっています。

これが電動ハンドガンの場合、長モノとは違ってセクターギヤだけ壊れるようになっています。
(私のフィールドのレンタル銃が12丁ほど寿命を迎えたが、すべてがセクターの磨耗による故障)







これが磨耗してしまったセクターギヤです。



スパーギヤと噛み合うギヤが削れている。



歯の引っかかり面積もそんなに広くない電動ハンドガンのギヤで高レスポンス、高サイクルをやってしまうとこのセクターギヤがすぐに磨耗して壊れてしまいます。


ですので東京マルイ的にはわざと導線で電流をスポイルさせて遅いサイクルにしたのではないかなと思います。

これも会社的事情なんでしょうが、すぐに壊れて修理が殺到しても対応に困るし「電ハンはすぐに壊れる」と言われても困るっていう側面もあるのでそこそこの性能でそこそこのタイミングで壊れる状態にしてバランスを取ったんでしょう。きっと。




これで高効率の配線にしてレスポンスもサイクルも長モノと変わらないっていう商品的価値を高めたところで寿命が短ければ本末転倒です。

「レスポンスとサイクルも長モノと変わらない」という長所よりも「割とすぐ寿命迎える」という短所の方が大きく印象に残ります。

人って基本的に良い印象よりも悪い部分の印象のが強く残りますから売上げにも大きく影響するでしょう。
そういったリスクを回避したとも考えられます。


ほとんどのユーザーは冬でも使えるコンパクトな電動ガンっていうところで十分にプライオリティを感じる訳で、しかも命中精度もバツグンときている製品です。そこへきて「でも発射サイクルとレスポンスは悪いよね」って言う人は一部のチューナーを除いてほとんど居ません。

しかもサバゲーにおいてはレスポンスが30msec短くなった程度で相手を倒せるようになるかと言えばそうではありませんしね。



ただ、撃っていてレスポンスは短いほうが気持ちはいいので配線の交換はオススメですね!

そのかわり銃の寿命も短くなることをお忘れなく!!

でも電ハンって修理簡単だしギヤ1個取り替えるだけで直るから自分で弄れるようになればかなり面白いエアガンになると思いますよ。





ニッケル水素用の端子を取っ払うと変換コネクタ使用時よりも1センチ余裕が生まれますので配線バランス端子も無理なく綺麗にまとまります。




本体側の端子の線も出来るだけ短くすることでスライドカバーに配線を挟んでしまうなんてことも避けられます。

コネクタを使っているとかなり無理やり押し込む感じになり、バッテリーのコードが断線する恐れもありますから、これはかなりオススメできるカスタムです。










最後に思ったのがBEC端子の断面積が銀コードよりも小さかったので端子で電流がスポイルされてるんじゃないかっていう疑問も・・・・。

だから銀コードをリポバッテリーに直付けしたら更にレスポンスよくなったりするかもしれませんね!でもバッテリーメーカーが最初からBEC端子付けてるってことはスポイルされることはないってことなのかな・・・。




とりあえず今回はバッテリーの種類と配線の交換によるレスポンスの違いを確認したかっただけなのでFETとか端子の種類を変えるとどうなるかというのはまた今度。



あのね~結構めんどくさいのよこの実験(笑)

だからしばらくはやりません!













ということでまた次回!!










  

Posted by 大門団長 at 21:44Comments(9)電動USP